mk-lute

リュート奏者としてソロ・アンサンブルで、中世~ルネサンス~バロックの音楽を始め、音楽ジャンルを越え様々なシーンで活動中。
近年では2015年、PARCO舞台『メアリー・ステュアート』にリュート奏者として出演。
その他、シェイクスピア作品の演劇等で音楽監督(リュート演奏/作曲・編曲含む楽曲コーディネート)も行っている。
また作曲・編曲ではTVCM、PV等数多くの作品を手がける。日本リュート協会理事。

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"劇場版アニメに於ける古楽器"

今年2018年の2月より全国映画館で公開されている映画
「さよならの朝に約束の花をかざろう」
監督:岡田麿里
音楽:川井憲次
主題歌:rionos
この映画に於いて劇中にハーディガーディとリュートの演奏シーンがあり
その両者の楽器の演奏を担当しました。※サントラ収録も含む 劇場版アニメで登場する古楽器の演奏シーンといえば
スタジオ・ジブリの「耳をすませば」が古楽界隈では良く知られるところであり
ツィンク、リコーダー、リュート、ヴィオラ・ダ・ガンバetc
日本古楽界の諸先輩方がそれぞれを担当なさったと聞及んでます。
アントネッロの濱田芳通氏はこのときツィンク、リコーダー、パーカッションの三刀流だったとか…
ちなみに映画公開時は僕は中学生?くらいで、剣道部で音楽とは無縁の日々竹刀を振っている生活だった為
このシーンに注目したのは大分最近です。 音源のみの映画サントラでのレコーディング参加はこれまでもいくつか経験があるのですが
劇中での演奏シーンで楽器および奏者の登場というのは初めてでした。
音源としての収録、および作画の資料提供のためのモーションを撮ったり
僕の演奏フォームや奏法やがそのまま作品の中に描かれ、短いシーンではあっても観た人たちに
これが“ハーディガーディ”、これが“リュート”という認識を植え付けることになると考えると
古楽器奏者としての責任感もありました。 使用した楽器 ・ハーディガーディ:イタリアのSilvio Orlandi氏2016年製作のハーディガーディ
2年前のハーディガーディを始めるにあたって、最初の楽器をGetする過程に於いて、某オークションで中古で出ていたものを一度負けて落とせなかった楽器です。このときは相当な値段まで吊り上がりました。
そして別の楽器で弾いてた矢先、再び某オークションサイトにて、まさかの新品の出品!!
最低額で入札し、幾らまでつり上がるかなぁ~と様子を見ていたところ…
なんと最後まで誰も入札せずに、そのままGETとなりました!!
楽器は想像以上に音量が豊かで明るく音抜けも良い楽器でした
本当に良い買い物をしたという感じで、そのまま今も愛用し続けております
先日劇場で実際に登場するシーンを見たら、楽器のシェイプがまさにその楽器そのものの状態で
描かれてておりました♪今後ブルーレイやDVDが出たら、製作家のSilvio Orlandi氏に画像にして
送ろうと思います ・リュート:渡邊広考氏1996年製作の中世リュート
リュートの師である永田平八先生から譲っていただいた楽器
先に挙げたアントネッロのCD収録にも使用された楽器という歴戦の勇士です
僕がリュートを始めるより前に一度大破したらしく、修復後僕のものになっても何回かペグボックスが外れたりして
それでも不死鳥の如く蘇ってきました。
実は僕の劇伴レコーディング仕事の中で最も多く使ってる楽器です。 今回は曲に入る前に別録りでウォームアップシーンのフレーズも弾いたのですが、劇場で「これいつもの僕の手癖だなぁ」と思い観てました 。ストーリー、描写、音楽、本当にどれも素晴らしい作品で、そんな素敵な作品の中のひと欠片でも関われたことはとても有り難いこと。観たお客さんの感想にもハーディガーディやリュートに気付いてくれた人が結構いてくださって嬉しかったです。

New Hurdy Gurdy

今月中旬に、昨年よりオーダーしていた新しいハーディガーディが届きました。 製作家はイギリスのChris Allenで、ドイツのアーヘン大聖堂にある石像が持っている楽器がモデルのようです。
予てよりこの製作家は気になっていて、中古でもいいからこの製作家の楽器が出回らないかなぁといつもチェックしてました。ちなみにリュート製作家としても知られ、イギリスリュート協会の製作家リストにもあります。 新たにオーダーするきっかけとしては、昨年2017年の2月、2018年現在公開中の映画「さよならの朝に約束の花をかざろう」のサウンドトラックのレコーディングの折、演出家と作画の方および作曲家の川井憲次さんにハーディガーディとリュートの演奏を劇中で登場させるので弾いてほしいとのお声がけがあり、その時は当時メインで弾いていたSilvio Orlandi製作の楽器を弾きました。 そのレコーディングの1週間前くらいに、オークションサイトSekaimonでたまたま見かけたChris Allen製作の中古のギターボディ、バロックタイプのハーディガーディが出てて、入札しギリギリまで競っていたものの、無念にも落札ならず…
もともとサウンドホール付近に割れがあったので、落とせたら落としたいなぁくらいの感覚で競ってたのですが、いざ負けたときに今までになく悔しい気持ちになりました。
その後、レコーディングと作画協力を無事終え、満足感と達成感に浸った後、どうしても落札出来なかった悔しさが頭をちらつき…気付いたらオーダーのメールを出しておりました。 Chrisの楽器はどのモデルも魅力的で、ギターボディ、Callot、ヘンリー3世、、様々ある中で、最初に気になったこのAachenerを選択しました。時代的には中世~ルネサンス時代の辺りのシェイプ、作りも音もよりヒストリカルなイメージが強かったので、リュートと平衡して弾くならうってつけでまさに僕向きだと思いました。
あとはこのタイプが他に類のないモデルで、ユーザーも少ない、中古になかなか出回らないということは、買ったら手放しがたい、という推測も選んだ要因でした。
ウェイティング1年くらいと言われて、おそらく2~3年みとかないとかな~と思っていたら、まさかのジャスト1年ほどで完成!!
出国時に数日間イギリス税関でキープされるというトラブルがありましたがなんとか無事手元に来ました。
日本に送るのは初めてとのことで、日本ではこの楽器の最初のユーザーになったかと思います。
届いた楽器は想像していた通りの素晴らしい楽器でした。今まで弾いていた楽器とは個性が違っていて、まず第一にとても軽い!!中世フィドルのような型のボディにガット弦を張り、柔らかく素朴な古楽器らしいサウンドです。またドローン弦、メロディ弦、トランペット弦にそれぞれカポタストが2つずつ付いていて、キーチェンジもスムーズ。不思議だったのが表面版のバズ弦付近にくっついていた金属で、なんと表面と裏から磁石を仕込んでいるというものでした。これはミュート効果があるようで音を抑制するためのアイテムでした。
これから弾きこんでいけば、より豊かで膨らんだサウンドになりそうです。 今まで使っていたSilvio Orlandi製の楽器は音抜けが良く明るく大きいサウンドが特徴なので、シチュエーションによって使い分けていこうとおもいます。 サンプル演奏動画 "Tourdion"